出版社/著者からの内容紹介
「がん」と一口に言いますが、「肺がん」や「胃がん」と「乳がん」とでは性質が大きく異なります。例えば、病期ごとの5年生存率。ステージ2では、5年生存率は肺がんが4~5割程度なのに対し、乳がんは8~9割。乳がんは予後のよいタイプのがんなのです。反面、乳がんは術後10年たっても20年たっても再発の可能性があります。肺がんなど他のがんでは術後5年経過したら滅多に再発しませんから、乳がんは特殊ながんと言えるのです。本書では、「自分のがんはどんながんなのか」を知って治療を受けるために、医師が患者に対して告げるがんの「悪性度」とは何かを乳がん専門の病理医に取材して紹介しています。
2005年スイスのザント・ガレンで開催されたコンセンサス会議で、乳がんのリスク分類とその分類に基づいた術後補助療法が新たに規定されました。その規定に基づく治療法や、厚生労働省の研究班によって発表された乳房温存療法のガイドラインの概要など、最新の乳がん治療法を網羅するとともに、再発・転移への対策法についても重点的にカバーしています。
また、セカンド・オピニオンの求め方、術後のリハビリや気功、サプリメントの取り入れ方を含む元気なカラダづくりの方法、「死ぬのでは」という恐怖やおちこみからの回復、夫とのあらたな関係づくりなどこころの元気を取り戻す方法、リンパ浮腫対策や乳房再建、化学療法中のウィッグ活用法、ランジェリーに至るまでQOLを高めるための方法などを網羅。
通常、類書は一人の医師の執筆または監修によって構成されますが、本書は30のテーマについて18人のそれぞれの分野の専門家や患者さんたちに取材して編集しているのが最大の特徴です。